マイラ・リューインより
私は最近、ある女性のクライアントと話しました。その女性は生涯を通じて健康そのものでした。しかし、最近になって、ほてりや体重増加、心の乱れなど、更年期障害に関連する症状が出始めていました。彼女の比較的バランスのとれた食事やライフスタイルについて話した後、私たちは、バランスのとれた成熟へと向かう邪魔をしている、ある小さな、しかし重要な要因に気づきました。それは、氷の入った保冷ボトルに、いつも冷たい水を入れているということでした。
遠目に見ると、保冷ボトルの水を飲むことが更年期障害の原因になるにはあまりに些細なことに思えます。しかし、冷たい飲み物は、 アグニ(消化の火)を制限し、弱めます。このボトルを毎日使っていた数年間で、氷のように冷たい水は、食べ物や人生経験を消化する能力を低下させていました。その結果、ドーシャのバランスが崩れ、体調不良を引き起こすことになったのです。
アーユルヴェーダとヨガの癒しの力を体験した人の多くは、その療法がシンプルであることに驚きます。常温の飲み物を飲み、よく噛んで食べ、 アーユルヴェーダ と ヨガ の癒しの力を体験した人の多くは、その療法がシンプルであることに驚きます。常温の飲み物を飲み、よく噛んで食べ、同じ時間に就寝し、適度な生活リズムを保つだけで、これほどパワフルな結果が得られると言うと、信じないクライアントもいるようです。しかし、Hale Puleでは長年にわたり、このシンプルな方法を実践してきました。その変容の力は、深く充実したものです。
「シンプル」の拡大する力
過去数十年間で、人生はずいぶんと複雑になりました。多くの人が、自分の在り方を忘れ、どれだけたくさんの活動をこなすかに集中しているように思えます。自分のことかもしれないと思ったら、そんなあなたに私からの質問です。あなたは、本当は人生にどんな経験を取り入れたいのですか?
人生が複雑なとき、その取り扱いは困難になります。そして、圧倒され消耗し、本当はどの方向に進むべきなのかが分からなくなって、混乱が訪れる。。。別の生き方もあるのです。アーユルヴェーダは、シンプルに生きるコツと科学を私たちに示しています。
癒しの道、それはシンプルです。自分の活動の、もっとも重要なものだけを残すのです。そうすれば人生の経験は拡大します。ここでアーユルヴェーダのdinacharyaディナチャリャ(日常習慣)の概念が活躍します。1日を自然のリズム(仕事のリズムや、やることリストのリズムではなく)に合わせるのです。そうすれば、今までにない程にしっかりと自分自身や季節、そして自分を取り巻く世界とつながることができます。
ディナチャリャという人生を変える実践についてじっくりと読みたい方はこちらの投稿をどうぞ。その要約は下の通りです。
起床時間と就寝時間を規則正しく。エネルギーを最大にするために、朝は6時前に(もしくは日の出とともに)起床、夜は10時前に就寝します。
毎日決まった時間に、平和な気持ちで3食食べる。食べる量はほどほどを守ります。食べ過ぎも食べなさ過ぎもよくありません。
毎日決まった時間に自己認識を高め暮らしを向上させる活動を行う。何時間もヨガの練習をする必要はありません。朝は10分の瞑想をして、アーサナは10〜15分行います。これで気分も向上し、創造性を楽しみ、次になにが起きようと、より良い姿勢で取り組むことができるようになります。
シンプルな日常習慣を繰り返すことで、大切なことが日常の忙しさに押しやられておろそかになるのを避けることができます。日々の暮らしから「ひょっとしたら」がなくなり、一番大切なことに集中することができるのです。
サットヴァ、ラジャス、タマスの役割
シンプルの道はsattvaサットヴァすなわちバランスと調和です。忙しさの道はrajasラジャスすなわち騒乱へ向かう活動です。私たちは皆、人生にラジャスを必要としています。そしてラジャスがサットヴァの方向を向いているときは、平安と喜びをもたらします。例えば、ラジャスの力で私たちは朝ベッドから起き上がります。ラジャスがあるから自分のために滋養あふれる食事を用意することができます。自分の真の姿を表現する行動全てにラジャスが存在しています。
ラジャスの量が多すぎればそれはtamasタマスすなわち怠惰と暗闇につながります。ラジャスが顕著なとき、あなたは次から次へと活動をこなしています。「次の大変なこと」に意識を向け、過剰にエクササイズをし、娯楽の一環でものを食べ、刺激的な活動や環境に身を置くことに時間を費やしています。自分のエゴを満たす活動にエネルギーを浪費してすっかり消耗し、精神はくたくたになって心も病みます。どこかの段階で方向転換をし、サットヴァつまり光を目指しさえすれば良いのです。
成し遂げたものごとで価値を決める人生から離れ、どう成長するかで決まる人生を目指す。そうすれば、シンプルに生きることや毎瞬間に心がこもることの方が、目標を追いかけるよりもずっと充実していることが分かるでしょう。生きる速度を落とし、本当の自分が花開くことを許可してください。
少ない方が多い
「する」を減らせばもっと多くを楽しむことができます。もっとシンプルに食べれば、それぞれの食べものがからだにどのような影響を与えるかがよく分かり、サットヴァの質の食べものを選ぶことも簡単になります。1日のリズムを讃える生き方をして、自分を省みる静かな時間を持つようにすれば、自分をもっと完全体に感じるでしょう。つまりこれが「少ない方が多い」の本質です。
複雑なことは引っ剥がして、サットヴァのためのスペースを作ってください。持ち物は本当に必要なもだけを残し、1日の活動で不要なものはなくし(そしてもしお子さんがいる場合はお子さんのスケジュールをシンプルにし)、外食よりも新鮮な出来立てのものを家で食べる回数を多くします。「ノー」と言えるようになるだけではありません。正しいことに対しては「イエス」と言えるようになることも大事なのです。
これは、一晩でどうにかならなくても良いのです。明日は昨日よりももっとシンプルにしよう、と決意すること。プラーナ粥から始めてみてください。こんがらがったヨガの練習をほどいて、いくつかの力強い、例えば ウトゥカターサナ(椅子のポーズ)のようなポーズに集中してください。日中はその手を休め、ゆったりとした意識的な深い呼吸を3回行い、本来の自分に戻ってきてください。夜は少し静かな時間をもって、1日を振り返ってください。することは減っていても、シンプルな生活はかつて想像したことのない大いなる恩恵をあなたにもたらしてくれるでしょう。