マイラ・リューインより
サハラ砂漠では太陽を近くに感じます。
その砂丘の起伏の中に、かつて世界で一番大きな湖、メガ・チャッド(Mega Chad)が存在していました。しかし太陽の容赦のない照りつけによって、何千年も前に蒸発しました。しかしながら、現在も湖の銀色の残留物が、地球の裏側の生命を支えています。毎年、風に乗ってサハラ砂漠のかつての湖底の豊富なミネラル分の屑が南アメリカ大陸まで運ばれ、アマゾンの青々とした草木を肥沃にしています。
地球の複雑さや途方もない環境のバランスについての理解を深めるためには、地球全体を考察しなければいけません。地球は、様々な要素の相互作用によってバランスを保っている、ホリスティック(全体的)なシステムです。人間も同じです。本当の癒しを得るためには、私たちは人間についても、心と体と魂の全体で捉えなければなりません。
アーユルヴェーダとヨガがこれほど効果のある癒しのシステムである理由は、人間の健康に関してホリスティックなアプローチをしているからです。アーユルヴェーダとヨガのプラクティス(練習と実践)は、心と体と魂の融合や、これらの違った側面がいかに互いに、そして全体的に関係しているかに焦点を当てています。ホリスティックな観点から、私たちは心や感情に働きかけることが、いかに身体的に大きなインパクトを与えるかを理解しています。それゆえ、本当の癒しは私たち全体に働きかけるものでなくてはならないのです。
癒しにホリスティックなアプローチを使うには、西洋医学の(対処療法的な)実践の下にある考え方からシフトする必要があります。還元論の視点で見ると、対処療法のアプローチでは心と体と魂を切り離し、それぞれを個別に扱う傾向にあります。症状を、研究室でのそれぞれの部位の化学的な構成の分析を通した既知の事実から導き出します。
病気の下に隠れている多元的な原因よりも、病気自体を扱おうとするのです。
ホリスティックな科学であるアーユルヴェーダでは、人全体に対して、身体的・精神的・エネルギーの面において同時に扱う、いくつかのセラピーを提供しています。アーユルヴェーダの自然の癒しの完成されたシステムの中で、第一に重要なものは、マルマ・ボディワークです。この効果的な癒しの形は、マルマ・ポイントとして知られる私たちの体の生命のエネルギーポイントにアクセスすることで働きます。マルマポイントは、中国の伝統的な医療である鍼治療などで使われるツボに似ていて、プラーナや気の繊細な通り道でもあります。しかしながら、マルマ・ポイントでアクセスできるエネルギーのチャンネルは、感情の混乱や不健康なライフスタイルの選択によって、ブロックされてしまいます。治療に最適な軽い圧力によってマルマ・ポイントが活性化されたとき、エネルギーのブロックは解放され、プラーナが障害なく流れ出します。
プラーナ は、私たち全体を活気づけ支えてくれる、聡明で偉大なエネルギーです。私たちのエネルギー的・精神的・身体的な健康の源として、これは癒しの中で一番大事な要素です。プラーナが全体に均一に流れると、より一層明晰に考えて理解できるようになり、より高い意識を持つことができるようになります。
肉体のマルマ・ポイントのネットワークを理解すると、人の微細な体(エネルギーの体)と、実際の肉体がどのように関係しているのかについて洞察できるようになります。マルマ・ポイントは鍵となる体の結合点(靭帯、腱、血管、骨)にあり、チャクラやナディともつながっています。チャクラは、よく知られていますが、微細な体の主なエネルギーセンターです。チャクラは、チャクラからエネルギーを供給する微細なチャンネルであるナディとつながっています。それぞれのナディは、肉体に位置する決められたマルマと互いにつながっています。
これが、マルマ・ボディワークが癒しのためのアーユルヴェーダのホリスティックなアプローチにとって重要な理由です。
マルマは、アーユルヴェーダでもっとも効果的な、体の中のプラーナの調和をとる方法です。マルマ・ポイントを理解することは、ヒーラー(癒す人)にとって、扱う生命のフレームワークを理解し、病気を診断することにつながります。マルマ・ボディワークは、他のすべてのアーユルヴェーダのトリートメントの効果を増大させる、ヒーラーにとってのパワフルなツールとなることでしょう。
例えば、ボディワークの際、あるマルマ・ポイントの周辺に痛みを発見したら、それはエネルギーがブロックされている印です。プラーナが正しく流れることができないと、病気が実際の肉体と微細な体の両方に現れてきます。それゆえマルマ・ボディワークは、痛みの原因とバランスの崩れたところにフォーカスし、私たちの全体を癒す始まりとなるのです。ボディワークの際に痛みのあるマルマ・ポイントを見つけることで、プラーナのエネルギーを癒す力を解放するために、筋肉と関節に囲まれた部分を優しく運動させることが大事であると理解するようになります。
またマルマを学ぶと、ヨガのアーサナのプラクティス(実践と練習)やヨガを教えることについて、新たな視点から洞察できるようになります。ヨガのポーズでは、四肢や関節、背骨など重要なマルマ・ポイントを持つ部分のエネルギーを活気づけます。実際にアーサナのプラクティス(練習と実践)は、マルマの範囲を通じてプラーナの流れを促進するようにデザインされています。いくつか例をあげると、 ツイスト(ひねり)のポーズはお尻と背中、肩のマルマを活性化させることでプラーナの流れを改善します。また ウシュトラーサナ(ラクダのポーズ)のような後屈のポーズは、マルマ・ネットワークの前身を開くことでプラーナのエネルギーを強く刺激します。マルマ・ボディワークについて学ぶと、もしあなたがヨガの先生ならば、生徒のプラーナの流れをブロックしているものを取り除くことを学べるでしょう。
プラーナが流れ出すと、見事な知性が深い癒しをもたらし始め、私たちの経験の中に心の平静を見つけるのです。プラーナの循環が効果的に行われていれば、私たちの体は地球と同じように自然とキャリブレーション(較正)されます。サハラ砂漠の塵がアマゾンに滋養をもたらすように、背骨を開くことで私たちの洞察力はリフレッシュします。変化は自然と現れます。これまでのサイクルが終わり、新しいサイクルが始まるのです。
この効果的で古のボディワークのテクニックについてより深く知り、自分自身や他者を癒したいと思ったなら、来年そのチャンスがあります。Hale Puleでは、2019年に美しいカウアイ島(注:2019年まで、Hale Puleはハワイ、カウアイ島を拠点にしておりました。)で、マルマ・ボディワークの認定コースの開催を予定しています(日本語コースの開催は未定)。詳細について知りたい方は、jp@halepule.comまでお問い合わせください。
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