土からの教訓

私はここを去らない生徒となりました

私は、1990年代後半にマウイ島でマイラに会いました。彼女がアーサナをしているのを初めて見たとき、私の心の中である種のスイッチがオンになりました。私はこの人から学ばなければならないということを確信したのです。彼女は明らかに何かを理解しているようでした。それで私は、彼女の戸口にいつも現れ、家の周りや庭で何か手伝うことはできないかと尋ね、彼女の知恵、つまり人生のマジックへの彼女のつながりを吸収したいと思ったのです。

マイラは親切にも私が周りに居るのを許してくださって、私はいろいろなことを学び始めました。彼女は私にアーユルヴェーダの原則について教えてくれました 。彼女は アグニ（消化の火）について教えてくれ、そのアグニに対処することが、私にできる最も重要なことでした。私は彼女の言ったことを頭では理解しました。それは理にかなっていました。アーユルヴェーダは自然に基づいており、私は自然の中にいることが大好きなのです（私は基本的に森の中で犬に育てられたようなものです）。

しかし、農業に従事する者としてアーユルヴェーダの原則を実際に体験するまで、私は本当にそれを理解していなかったのです。

今にしてみると、土は私の最も偉大な教師のうちの1人でした。土の手入れは、バランスについてのすべてを私に教えてくれました。。。。私がどのように、そして何を体に入れるかで、私がバランスの良い方向へ近づき、または遠ざかるのか。

そこで、植物を育て世話をしてきた長年の試行錯誤の末の、土から得た5つの重要な教訓をここで共有します。

1. 1. 庭の腸：適切な消化にはバランスのとれた環境が必要

土壌は、多くのシステムを具現化する複雑な生物です。健康な土壌は、動植物の多様なコミュニティの香り豊かな家です。土壌は動植物に栄養とコミュニケーションネットワークを提供します。土壌は絶えず再生し、繁殖し、さらには成長さえします。そして、私たち人間と同じように、agni アグニ（消化の火）を持っています。

バランスの乱れた土壌は、最終的には生命を維持する能力を失い、不活性になります（これも人類に共通する特徴であることだと気づきました（笑））。健康であるためには、土壌は水分と微生物（バクテリア、ウイルス、真菌などの小さな生き物）の自然なバランスを必要とします  。このバランスが崩れると、つまり、何かが過剰に支配的になったり、何かが欠けたりすると、最高の肥料を加えても、植物が必要とする栄養素を吸収できる形で利用できなくなります。

同じことが人間の腸の健康にも当てはまります。不健全な食生活と感情は、私たちの消化管の微生物叢を乱し、アグニを弱め、食べ物の栄養価を利用する私たちの体の能力を損ないます。そのため、最高の食事をしていても、アグニが弱っていたら、何の意味もありません。うまく消化されないのです。

マイラと私、そしてスタッフ達と生徒達のチームで、ハワイに 3つの農場を作り、世話をしました。私たちは、固く、毒された（化学薬品を使った農業によって）、死んでしまっていた赤い土壌の広がりを、短期間で肥沃なオアシスに繰り返し変えていきました。

これは、長年の医学的診断を覆すことに似ていると思います。 完全に可能なのです。結局のところ、すべてをホリスティックに見て、バランスの乱れの原因を取り除くことを学ぶことです。

2. その場しのぎでは、カビが生える

カビについて少しお話しましょう。カビは、土壌システムを乗っ取ることを最も熱望しているように見える小さな盗賊です。枯渇した土壌を復活させようとしていたときに、このことを学びました。私たちは自然の”家庭療法”を加えましたが、野菜が突然、真菌の問題を抱え始めたので、土壌に対して糖分が多すぎることがわかりました。砂糖を与えると、ウイルスや真菌の集団が爆発的に繁殖します。菌のバランスをとるために、次に有益なバクテリアを適用しました。これは真菌性の病気を治療するのに役立ちましたが、別の問題を引き起こしました。症状を治そうとするのは、『ハエを飲み込んだおばあさん』の 寓話に少し似ています。1つの救済策がバランスの乱れを引き起こし、それを治す別の救済策が必要になる、そしてそれが繰り返されるのです。

そこで、私は濃縮された土壌改良剤を投入を使用して急速に完成した土壌への道を展開させるという考えをあきらめ、土壌の復元のために堆肥を使用することに切り替えました。それはプロセスであり、最初はすべてが悪化しているように見えました。そして、他のことを試し続けたいと思ったことを認めます。しかし、私たちは単純なやり方にとどまり、持続可能で美しくバランスの取れた土壌と幸せな植物を手に入れることができました。

サプリメント、スーパーフード、薬用キノコで同じようなことをしている人を見かけます。彼らは、気分を良くしたり問題を解決したりするための特効薬を探していますが、それはしばしば全身のバランスの乱れを引き起こします。シンプルなものにこだわるとうまくいきます。

3. 原因と結果を観察する：知恵が知識を打ち負かす

ある夜、カウアイ島（注：2019年まで、Hale Puleはハワイ、カウアイ島を拠点にしておりました。）の農業組合の集会で、ハワイ大学の農業科学者から土壌検査に関する巧妙で説得力のあるプレゼンテーションを受けました。彼は、ビタミンやミネラルの含有量の詳細な分析が可能になったことを説明しました。次に、彼は、明らかになった土壌欠陥を改善するために購入できる土壌改良剤を示すレポートの例を紹介しました。彼は、これが私たち農業従事者達にもたらすであろう貢献に感嘆しました。

次に、島で最も経験豊富で成功した有機農家であるネッドさんが招かれ、彼の考えを共有してくれました。ネッドは帽子をとり、頭を掻きながらこう言いました。「自分の土壌をテストをしたかったら、私は、何かを植えてみます。出てきたものが弱そうに見える場合は、日当たりや、灌漑システムなどを確認し、土壌を休ませ、優しく話しかけ、堆肥を追加します。そうすれば、常によくなるんです。」彼は帽子を被り、席に着きました。

さて、ネッドさんがアーユルヴェーダを知っているかどうかは疑問ですが、私は彼を原則についての専門家と呼びます。それは、私たちが「知っている」ことやデータを収集することではありません。それは直接的な経験と、原因と結果を観察することです。

4. Keep It Simple, Silly*（略して、『KISS』)シンプルにしておけ、お馬鹿さん！　

*KISSの原則＝60年台に米国海軍において言われた単純性/簡潔性が成功への鍵だという原則の略語　

私がアーユルヴェーダを始めた時、私は多くの身体的症状を経験しました。私が学んだことの1つは、お菓子と酵母 （サワー種） の摂取が私の心を狂乱状態に陥れただけでなく、体に真菌の異常増殖を引き起こしたことでした。私は「イースト菌感染症」を経験したことがないので、全身性カンジダはだとは決して思いませんでした。しかし、道理にかなったのは、菌類が全身で支配的である場合、菌類は宿主に邪悪な砂糖への渇望を引き起こし、宿主を狂わせることがあるということを学んだことでした。それを、私自身と重ね合わせました！ 

私がまず、甘いもの、イースト、キノコ、カビ (熟成したチーズやナッツ・バターなど) を食生活から除外しようとしたとき、私はさらに感情的になり、いくつかの症状が悪化したように感じました。菌類は主導権を握ろうと戦ったものの、最終的にはあきらめて死んだのです。  

マイラが私の体、心、精神をサポートするために提供してくれたすべての簡単なツールを使って、私は最終的にカンジダを除去することができました。食事やライフスタイルの変化による最初の不快感は、私が体験した症状や渇望から解放されたことに対するわずかな代償となりました。それにしても、アーユルヴェーダ流の食べ方もまた素晴らしいものであることを私は保証します。 私たちは神のように食べるのです。

5. 私たちは自然の一部である

私は、症状への対処が一時的にそれを覆い隠すだけで、その後、より多くの不均衡と対処が必要なより多くの症状につながるという古い悪循環に陥ることはありません。ビタミン剤、スーパーフード、新しいフィットネスの日課、または最新の科学的発見によって、より良い健康状態がもたらされると考えると、代わりに私の中で混乱が芽生え、財布が空っぽになりました。症状が持続的に緩和することはありません。

アーユルヴェーダの生活には、新しい製品や食事、検査を受けること、うんざりするほど多くの化学成分の列挙はありません。アーユルヴェーダの生活とは、私のアグニをサポートするために、時間をかけて一貫して単純な自然な行為を喜んで行うことです。例えば、間食をしない、よく噛む、スケジュールを守る、 バランスボウルにこだわる、などです。

私はいつも、庭や森に居る時のほうが生き生きとしているように感じてきました ー そこはサットヴァの中、バランスの中にあります。自分自身のヒーラーになるために解放されて以来、私は恐れることなく、自分のありのままの姿でいます。自然は自分が何をしているかを知っており、チャンスがあれば公平に、例外なく、バランスの取れた状態に戻ります。私の体と心もそうです。すべての詳細を理解する必要はありません。物事を全体的に見続ける必要があります。症状をつつくのではなく、自分の選択が自分全体にどのように影響するかを見ることです。最新の流行を追いかけたくなることもありますが、私は何度も何度も試してきて、用心深くなり、うんざりしてきました。

代わりに、私は一貫した水やり、太陽、休息、良い仲間達、そしてサットヴァの食べ物を与えながら自分自身を愛する庭のように管理します。シンプルに保つことで得られる結果がとても気に入っています。​