By Myra Lewin
今、私は幸運なことに、美しく豊かな農場で暮らしています。自分たちの食べるもののほとんどをここで育てることが目標です。そして年のうちの数週間は、ほぼ全て自分たちでまかなうことが可能になりました。けれど、日々ドゥルガ・ファーム(Hale Puleがハワイのカウアイ島に拠点をおいていた時の農場)で学ぶことの1つに、vairagyaヴァイラーギャ(無執着)というものがあります。
私たちは種をまきます。そしてその種が健康に芽吹いて育つためのすべてのお膳立てを整えています。ですが常に変化し続ける自然は、思いがけないアクシデントを私たちに仕掛けてくるのです。夏の猛暑、多すぎる雨、私たち人間と同じくらい野菜好きな虫。もしも農業(や人生)は完璧で当然、いつも必ず思う通りになるはず、などという考えに執着していたら、農夫としてはあまり長続きしないでしょう。その代わりに、私はそういう時は、市場で友人農家をサポートします。
幸福の根っこにある無執着
私の幸福感は、農作物(や家族や友人)の調子に左右されません。私の幸福感は、私の内なる神とのつながりから来るものです。ヴァイラーギャを実践すると到達するのはここです。外側のものごとへの執着を手放した私たちは、外界に楽しみを探し求めることをやめて内側を見つめます。この内側こそが、長く続く幸福感の宿るただ1つの場所なのです。
無執着は、他を気にかけるのをやめるとか、重要なものを手に入れるための働きかけをやめるとかを意味するのではありません。無執着とは、物質世界の非永続性を見る、そんなシンプルなことです。人生が私たちに差し出すものを楽しむ、けれどそれと自分を同一視せず、執着もしない。無執着とはそういうことです。
バガヴァッド・ギーターの中で、ヴァイラーギャという教えがわかりやすく説かれています。人生という戦場に立ち、クリシュナはアルジュナに、勝利のときも敗北のときも同じような在り方をせよ、と言います。つまり結果に執着することなく、無私無欲に生き、与えよ、というのです。これは、状況があなたに有利になろうがあなたの人生が根底から覆されようが、そんなことは関係なく、ハイヤーセルフと結びつくことであなたの船旅は順調になる、ということを思い出させてくれる教えです。これを念頭においておけば、あなたは旅路の途中で出会うポジティブなことやネガティブなことによって行き詰まるということもなく、前進し続けることができるのです。
物質世界で無執着を実践する
あなたという存在の核には、永遠の魂があります。
それ以外のものはすべて常に移り変わっています。あなたの体、心、所有物、これらすべてがやがては朽ちます。友人も仕事も、あなたの元を訪れ、そして去ります。いつの日かあなたはこれらすべてを後にします。けれど、魂はあなたなのです。物質よりも永遠に重きをおく生き方を選び取ったあなたは、すべての決断における優先順位を明確に理解し、実行に移すことができるようになるでしょう。
ヨガのすべてと同様に、ヴァイラーギャは本来、刻一刻と移り変わっていく状況に合わせて実践されるべきものです。すべての経験は、物質の束縛を解き放ち、永遠を讃える機会です。経験によって物質世界を享受するのです。これは、例えば毎日同じものを食べなければ気がすまないという執着を解放するようなささやかな形で実現させたり(Hale Puleボウルのレシピでひらめきをどうぞ)、あなたに害をなす人間関係から立ち去るような大きな決断という形で具現化したりします。ヴァイラーギャの方向へ進めば進むほど、楽になるでしょう。
あなたの人生でヴァイラーギャを育む3つの方法は次の通りです。
自分自身との取り組み:あなたの心身は、人生を経験するための道具です。心身の発達に畏怖の念を抱きましょう。自分の顔に刻まれた皺を慈しんでください。 ダヌラーサナ(弓のポーズ)を練習してその進歩を味わいます。この旅の途中で得た新しい考え方を受け入れましょう。あなたの人生の変遷がいかに自然界を反映しているかを見つめ、喜びを感じましょう。そして、すべての経験が魂の成長の機会だということを忘れずに。仮に人生を通してあなたが常に同じであったとして、それでは充足感を得ることはおそらくないでしょう。
他との取り組み:無私無欲の愛を与えれば自由が経験できます。結果に執着したままに与えれば、あなたには失望が残ります。なぜなら、こうなるであろうと想像していたのと同じ反応にはならないからです。ポジティブな、そして長く続く関係性の秘訣、それは自身のハイヤーセルフを土台として関係性を築き、受け取る相手側で何が起ころうが、そのことは心配せず、ただ真のあなたを分かち合うことです。
物質世界との取り組み:ヴァイラーギャの実践のために所有物をすべて放棄する必要はありません。物質はすべて非永続的なのだと単に認識すればよいのです。あなたのお気に入りのなにか、例えば綺麗なシルクのスカーフを思い浮かべてみてください。どんなに丁寧に作られていようと、やがて繊維は細り、生地ははらはらと解け落ちるでしょう。役割を終えたぼろぼろのスカーフにしがみつけば、あなたの人生にはガラクタが増え、新しい経験の訪れの妨げになるでしょう。物を持つのは構わないのです。ただ、その真の姿を知り、時が来たら進んで手放す心の準備をしていてください。
もし自分が執着で行き詰まっていると感じたら、こう問いかけてください。「私は本当は一体何にしがみついているのだろうか?」大抵の場合、それは自分と同一視している記憶の欠片です。甘い思い出であろうが、苦い思い出であろうが関係ありません。過去に生きることは、現在のあなたの視界を曇らせます。執着が少なければ少ないほど、人生は楽になります。あなたの人生にある物や過去の経験への執着を解放することを、今月の実践にしてみてください( こちらから無料ダウンロードできる直観力エネルギー・プラクティスを道具としてご利用ください)。執着を解き放った時、そこには真のあなたの姿を表す余白ができるはずです。