自然界では、火は偉大な変換者です。森が火事になると、地面は肥沃になり、新しい芽が育つ空間ができます。しかし、火事が頻繁に起こったり、長い間燃え続けたりすると、そこはほとんど生き残れない場所になってしまいます。
自然界の真実は、私たちの中でも真実なのです。私たちの中にある火の要素であるピッタ・ドーシャは、変容させる力を持っています。バランスがとれていれば、その力は新しい経験を成長させるためのスペースを作ることができます。バランスを崩すと、何も育たない、人を寄せ付けない環境になってしまいます。ピッタの力を負担ではなく、利点として使用するために、内なる火を飼いならすことを学んでください。
ピッタ・ドーシャを理解する
ピッタ・ドーシャ は、食べ物を栄養に変え、知覚を理解に変え、経験を成長に変えるなど、あらゆるレベルでの変容を担っています。ピッタのバランスがとれていれば、自分の道を歩むために必要な勇気、野心、精神力を経験することができます。しかし、火の勢いが強すぎると、これらのポジティブな傾向が極端な状態になります。勇気は無謀に、野心は独断に、精神力は皮肉と裁きに変わります。
ピッタ・ドーシャは ヴァータほど簡単にバランスを崩すことはありませんが、安定したカパよりはバランスを崩しやすいのです。過剰になると、ヴァータとカパをすぐに乾燥させ、全身のバランスを崩すことになります。
体質や、ピッタのバランスが崩れた期間、時期によって、火の要素のケアに多かれ少なかれ力を入れる必要があります。例えば、夏に気温が高くなると、ピッタの火は自然に高温になります。 食事は軽めに、アロエジュースを½カップ飲むなど、季節に合わせて調整することが賢明です。また、寒い時期などには、体を冷やすものを摂りすぎると、ヴァータや カパのバランスが崩れてしまうので、注意が必要です。一日一日違うものです。自分の体の声に耳を傾け、一年中ベストな状態で過ごせるよう、少しずつ調整していきましょう。
ピッタ・ドーシャのバランスを整える食事
食べ物は薬です。あなたの中の火の要素のバランスを保つために、キッチンにある道具を利用してください。
ピッタ（およびすべてのドーシャ）を穏やかに保つために最も重要な要素のひとつは、バランスのとれたアグニ（消化器官の火）です。アグニは、火性のピッタの体質では、自然に熱くなる傾向があります。アグニのバランスがとれていると、代謝が安定し、新陳代謝もよくなります。適正な体重を維持 しやすく、筋肉のつき方も良好です。しかし、火が強すぎると、下痢や過度のげっぷ、食後のほてり、極度の空腹感、食べ物が十分に消化される前に排泄してしまうなどの症状が出ます。3食を決まった時間に摂る、よく噛む、食べ過ぎない、間食を控えるなどして、消化器官に過剰な熱がこもらないようにしましょう（詳しくは、アグニのバランスを保つための記事をお読みください）。
火の要素が強く燃えすぎている場合に、食事で熱を冷ますためのヒントを紹介します。
スパイスを賢く使う： 適度に使われるスパイスはアグニの味方です。しかし、良いものでも使いすぎると、アグニ（と、ピッタ）を悪い方向へ向かわせることになります。ピッタが過剰な場合は、使用するスパイスの量を半分に減らし、コリアンダー、シラントロ（パクチー）、ミント、カルダモン、フェンネルなど、より体を冷やす効果のあるものに着目してください。シナモン、ドライジンジャー、アサフェティダなど、刺激の強いスパイスは避けるか、大幅に減らしてください。
6つの味をバランスよく楽しむ：ただし、酸味、辛味、塩味は摂りすぎに注意しましょう。酸味は、より温めるレモンの代わりにライムを小さく絞り、塩は上から加えるのではなく、塩と一緒に調理すると、効果は維持したまま強さを弱めることができます。
体を冷やす性質のある食品を楽しむ：ココナッツ、牛乳、アズキ、マンゴー、ベリー類、りんご、メープルシロップ、白米、ニンジンやカボチャなどの甘い野菜など、「似たものは似たものを引き寄せ、反対はバランスをとる」という原則を応用して、体を冷やす食品を食べましょう。冷やすといっても、温度が低ければいいというものではありません。
熱の性質を持つ食品を避ける：火の要素を強める食品を取り除きましょう。カフェインやチョコレートなどの刺激物、アルコール、精製された砂糖、唐辛子、酢などがこれにあたります。
冷たい水を少し目にかける（特にローズウォーターがおすすめです）などして食後は熱を覚ましましょう：ピッタが高い時や、暑い時期のメンテナンスとして行ってください。
もうひとつ、ピッタを落ち着かせるのに特にいい方法をご紹介しましょう。毎朝、ハイビスカス、ローズ、ミントのお茶を飲みます。お茶を作って飲むという行為は、あなたのディナチャリャ（日課）に加えられる素晴らしいもので、一日中、冷静で穏やかでいることを助けてくれるでしょう。