夏の時期には、緊張が高まり、気性が上がり、忍耐力が低下します。これらはピッタ・ドーシャが過剰なときに出やすい数多いサインのほんの一部です。しかしながら、私たちのゴールが心と体のバランスを取ることであるならば、ピッタが他のドーシャと同じようにポジティブな用途でも役に立つことを覚えておくことは大事なことです。
ドーシャのネガティブな側面ばかりを見ていると、私たちが進むべき方向を見失ってしまうでしょう。私が600時間のアーユルヴェーダ・ヘルスカウンセラー資格取得プログラムのドーシャのレッスンを書いたときに、ヴァータ, ピッタ ととカパが整ったときの多くのポジティブな面を紹介しているのは、そのためです。ピッタについて、バランスの取れている状態と、バランスが乱れている状態の両方について話すことができると、人生がバランスの取れた状態になったときに、どのように感じるかを認識しやすくなり、そこから離れていったときには、その物事がひっくり返るということがわかりやすくなるでしょう。
ピッタのパワー
ピッタは、私たちの人生に多くの素晴らしいものをもたらしてくれます。食べ物を栄養に変え、経験を理解に変える、私たちの心と体の変容のパワーです。組織において強いリーダーシップを発揮したり、人生の経験を消化したりと、様々なレベルにおいて恩恵があります。そして、さらにもう一つピッタが整ったときの素晴らしい面があります。それは、一番の関心事であることとそうでない事を、簡単に見極めることができることです。この質のことを、テジャスtejasと言います。
プラーナとテジャスとオージャス: ドーシャの微細な側面
それぞれのドーシャは、微細な側面を持っています。これは物質の代わりに、エネルギーとして経験することを意味しています。ヴァータ・ドーシャはプラーナ(生命力)と関係しています。カパはオージャスojas(バイタリティー)と関係し、テジャスはピッタ・ドーシャの微細な側面であるのです。
ドーシャと同じように、これらの微細な側面も一緒に働いており、それぞれに影響し合っています。バランスの取れたプラーナ、テジャス、オージャスがあれば、結果として至善となり、その影響を経験することができます。
テジャスを理解する
テジャスは意識を高めてくれるピッタの側面である、とするとわかりやすいでしょう。テジャスは、洞察力や高次の知性の閃きをもたらします。テジャスは、学びの道を追うことを容易にしてくれます。これは頭でっかちになることとは違い、自分たちが望むことに対して”イエス”と言い、自分たちに奉仕しないことに対しては”ノー”と言える能力のことです。そして現実から真実を見出し、誰の言うことを聞けばよいか、いつ立ち去ればよいかを知ることができる、内側の輝きを増すことができます。
テジャスは、私たちの意識の拡張の直接的な反射(このプロセスは、プラーナによってサポートされ、テジャスとオジャスは共に育まれます)として、長い時間輝き続けます。テジャスは、その拡張のときも比較的安定しています。ピッタ・ドーシャ自体とは違い、速く転換します。この違いを理解するためには、ピッタ過剰の兆候を、冷ましの食べ物を食べることで、どのくらいの速さで減らすことができるかを考えてみましょう。あなたの人生のコースを振り返ってみたときに、あなたの決断する力はこの数十年で着実に強くなっているでしょうか? もしそうであれば、あなたがテジャスを着実に育てていることになります。
テジャスが多過ぎることによる影響
テジャスはピッタの微細な側面であり、火の要素にも関係しています。テジャスは多くの結果をもたらすので、ときに過剰になることもあります。そうなると人生のいいことを全て燃やしてしまい、その人が気づいていることしか見なくなってしまうかもしれません。これが不満や批判を引き起こし、プラーナの流れに影響し、オージャスを燃やしてしまいます。
テジャスがバランスの乱れから熱く燃え過ぎると、知的な追求は十分な柔らかさを持ち合わせません。例えば、誰かがフルタイムで働きながら学位を獲ることを追い求めれば、テジャスはバランスを崩すでしょう。そうすると忍耐力が弱まり、批判的になり、一緒にいても楽しくない人になるでしょう。しかし、テジャスのバランスが取れると、その人はインスピレーションとともに輝き、人生に対してオープンになります。
もし、あなたのテジャスが高くても、特にマインドにおいてのピッタ・ドーシャを穏やかにするプラクティス(練習と実践)にフォーカスすれば、宇宙の知的な一部としてのあなた自身の気づきを広げることができるでしょう。ここにいくつか、その火のバランスを取り戻すための考えを紹介します。
体を冷ます食べ物を食べる(例:ココナッツ、きゅうり、もしくはHale Puleのレシピ:ハイビスカス、バラ、ミントのハーブティーを飲む)。
食事から、辛くてスパイシーな食べ物、カフェイン、アルコール、発酵食品、精製された砂糖を排除する。
精神を穏やかにする活動を優先する。例えば、自然の中で日陰を散歩する、星を見つめる、またはシータリー・プラーナヤマを行う。
いつ話し、いつ話さないかを自制する鍛錬を行う。毎日のうち数時間の静寂を持つ、もしくは一年のうちに数日間の静寂を持つ。これは、単に間を埋めるために話をしないということも含む。
瞑想する、キャンドルを見つめる、マルチタスクをやめるなど、集中する練習をする。
甘やかで楽しいスペースを作る。私のお気に入りのプラクティス(練習と実践)のひとつは新鮮な花の匂いを嗅ぐこと。
私は自分のクライアントには、バランスのとれた方向を示して励まします。この夏、もしあなたがピッタ過剰の症状を経験したとしても、ドーシャのポジティブな面を覚えていてください。そして、あなたの心と体の中のいくつのことがいい方向に向かっているかに気づいてください。
ポジティブに向かう方向への転換は、時に人生におけるすべてのことを良い方向へと向かわせます。あなたがこの態度の転換を、アーユルヴェーダ式の食べ方やライフスタイルと組み合わせたとき、あなたが想像するよりも、さらに深いレベルでの健康と幸せの広がりを経験するでしょう。