ドーシャに関して言えば、ヴァータがあなたの主要なドーシャでないとしても、ヴァータのバランスを保つことが心身の健康をサポートするためにできる最善のことです。しかし、ヴァータを悪化させる電子機器の使用や飛行機、電車などの高速移動、何かをやり過ぎてしまうなど、すべてにおいてペースの速い今の時代には、多くの人がヴァータ・ドーシャが過剰であるという経験をしているかもしれません。
ヴァータのバランスの状態は他の2つのドーシャ、ピッタとカパ・ドーシャに影響を与えるので、とても重要なのです。これはヴァータの主な役割である、体内のすべての動きと関係があります。ヴァータの動きがなければ、心臓の鼓動はなく、血液は循環せず、消化のプロセスは停止してしまいます。これを読んでいるあなたの目の動きさえもヴァータが司っています(ただし、目自体はピッタの管轄です)。
ヴァータのバランスが取れていると、心身の動きはまるで美しいダンスのように滑らかです。創造力があり、心身は柔軟で、他人の視点から物事を見ることができるので、楽しい会話を楽しむことができるのです。
しかし、ヴァータが強すぎる場合、特に秋から真冬にかけてのヴァータの季節によく起こりますが、体と心の動きが激しくなりがちです。その結果、他の2つのドーシャのバランスが崩れ、本来なら簡単に改善できるはずの問題が悪化してしまいます。さらに、ヴァータのアンバランスの典型的な兆候である、不安、不眠、物忘れ、感情や身体の過敏さ、ガスや膨満感の痛み、便秘、身体の冷え、恐怖などが加わり、身体と心は不快感で一杯になってしまうのです。
ヴァータ・ドーシャと現代人の暮らし
現代のライフスタイルの大きな欠点は、ヴァータ・ドーシャを常に悪化させることです。電子機器の使いすぎ、人工的な熱、エアコンや扇風機の使用、恐怖に満ちたメディアの絶え間ない報道、セルフケアよりも生産性を重視することなどが、人類史上まれに見るヴァータ・ドーシャのアンバランスを招いているのです。ヴァータのアンバランスの兆候である鬱や不安の割合が急増しているのは、興味深い現実ではないでしょうか。
幸いなことに、ヴァータ・ドーシャをコントロールすることは可能です。ヴァータに支配される必要はありません。以下にヴァータを鎮め、あなたの全身を本来あるべき健康な状態に戻すための7つのヒントをご紹介します。
ヴァータ・ドーシャを鎮める7つのポイント
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温かく調理された料理でヴァータ・ドーシャを育む。
ヴァータを構成する風と空の元素に含まれる特性は、軽く、乾燥したものです。これらの性質は、正反対の性質を持つ食品によって、最もよくグラウンディングされます。温かく調理された食品、60%のオーグメンティングの食品(米、サツマイモなど)と40%のエクストラクティブの食品(青菜、豆類)のバランスで、十分な油と水で調理されたものは、体のバランスを保つためにまさに必要なものです。チップス、スムージー、サラダ、ポップコーンなど、乾燥したもの、冷たいもの、カリカリしたもの、軽いものは、ヴァータを悪化させるので避けましょう。
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アビヤンガ(体にオイルを塗布)を定期的に実践する。
ヴァータ・ドーシャは大切に育まれることでその効果を発揮します。温かいオイルを体に塗るabhyangaアビヤンガは、心を落ち着かせるセルフケアの方法で、dinacharya ディナチャリヤ(日課)に組み入れることができます。この習慣はヴァータの季節に特に重要ですが、一年を通して素晴らしい恩恵を与えてくれます。
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静寂の時間を見つける。
ヴァータ優位の人々は会話上手です。ですから、ヴァータのバランスが崩れる兆候のひとつが話しすぎることであるのは当然と言えます。瞑想したり、日記を書いたり、自然の中を静かに歩いたりして、毎日沈黙の時間を持ちましょう。このおしゃべりな傾向を自然な状態に戻すために、毎年、朝に2、3時間、または1週間、静けさを守り、沈黙の練習をすることを検討してください。
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一度に1つのことをすること。
マルチタスクするのが良いことだと思っている人が多いようです。運転しながら食事をしたり、歩きながら SNSやメールをチェックする、夕食を作りながら電話で話す、など思い当たるところはありますか?注意が分散されると、内外の動きが活発になり、ヴァータが過剰になります。1つの作業に全神経を集中させ、常に「行け、やれ」と自分を必要以上に鼓舞するのをやめましょう。そうすれば、あなたの生産性は向上するかもしれません。
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規則正しい生活を送る。
ヴァータの軽い性質に左右されず、地に足をつけた生活をするために毎日のルーティンを決めましょう。睡眠、食事、仕事のスケジュールが毎日変わると、ヴァータはすぐに増えてしまいます。食事と睡眠を規則正しくとることで、ヴァータを穏やかに保ちましょう(アビヤンガや瞑想でセルフケアする時間も必ず入れてください)。
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アーサナは自分のペースで行う。
ヴァータが優位の人は、筋肉や関節が柔軟なので、ヨガのアーサナは身近なエクササイズになります。しかし、短いホールドでテンポの速いヨガクラス(そして音楽付きの)は、この自然な柔軟性を限界まで押し上げ、怪我をする可能性があります。20〜25回の呼吸でポーズが取れるような、静かで穏やかな練習をしましょう。
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身を包む。
体を冷やさないこと。 寒くなってきたら、ヴァータの「冷」の性質を和らげるために、暖かい厚手の衣服で身を包みましょう。特に、外に出るときは、頭と首の後ろを覆うことが大切です。ピッタの季節にしまっておいた帽子やスカーフを取り出してみてください。また、シャヴァーサナの時や夜眠るときに、頭頂部と耳をショールや小さな毛布で覆うことは、ヴァータの季節にぜひ試していただきたい習慣です。体が温かくなり、精神的な活動も鎮まります。
karnapurna カルナプルナ
この秋冬、ヴァータのバランスを整えるコツを実践しているあなたに、ヴァータを和らげるアーユルヴェーダの簡単な療法、karnapurna カルナプルナをご紹介します。
温めた有機ゴマ油をスポイトに満たし、横向きに寝ます。スポイト1〜2滴を耳の穴に直接入れます(誰かに入れてもらうといいでしょう)。20分ほど静かに休み、タオルかティッシュを耳に当て、そっと体を起こし、頭を横に傾けてオイルが流れ出るのを待ちます。反対側も同様に行います。