アーユルヴェーダを理解することは学術的な取り組みではないし、決まり事を丸暗記することでもありません。速度を落として生活の経験の中に身を置くこと、これがアーユルヴェーダを理解する、ということです。アーユルヴェーダを学ぶのに一番いい(そして一番美味しい)方法があります。キッチンでアーユルヴェーダを学ぶのです。
アーユルヴェーダ・シェフになる 、には食べたものが自分の体と心に与える影響を学ぶだけでは十分ではありません。(手始めにアーユルヴェーダキッチンガイドで、そのためのツールがいくつか紹介されています)。窮屈なドーシャ別食べ物リストを捨てて、様々な食材とその調理法を探求することに集中しましょう。食べた物が自分にどのような影響を与えたかに注意をはらい、 健康日誌に記しましょう。そうすれば、白黒をはっきりつけるような思考の癖から離れて、生まれながらに備わっている叡智に近づくことができるでしょう。
ドーシャにバランスをもたらす調理法
消化に影響を与えるのは何を食べるかだけではありません。食材をどう調理するかも関わっています。
人は内に3つのドーシャ全てを持ち揃えています。この3つののドーシャがどう配分されているか、これには個人差があり、一人一人が独特です。そのうちのどれかが、いつでもバランスを崩す可能性があります。調理を始める前にその状態を確認することは、あなたを健康な方向へ導く素晴らしい実践です。その日の自分の舌を満足させるだけで終わってはいけません。長い目で見たときに、何を食べればからだの調子が良く感じられるでしょうか。あなたのハイヤーセルフに問いかけてください。「何を食べれば健康に近づくことができますか?何を食べれば自分をばらばらにするような食べものへの執着を切り離すことができますか?」と。
今月のアーユルヴェーダレシピ(今月はレシピ3つ)では、1つの食材に3通りの方法を提案しています。同じ食材でも、調理法が違えば、ドーシャへの働きかけと効果に差が出ます。不安や恐怖、不安や恐れを感じたり、忘れっぽくなったり地に足が付いていない気がするときは、柔らかく栄養価の高い食材を潰したり、ピューレ状にしたりしてヴァータを落ち着かせましょう。重さや、気だるさを感じたり、座りっぱなし、退屈な気分のときは、野菜のソテーや炒め煮でカパドーシャを軽くしましょう。暑がりで批判的で、せっかちな人は、野菜をローストして、ピッタの甘みを引き出してあげましょう。
この探求のために今回は紫イモを選んでみましたが、ここで記している調理法は他のどの野菜でも実践できます。調理法を変えれば、ドーシャのバランスが整えられるだけでなく、食事のバリエーションも大きく広げることができます。サツマイモのマッシュポテトはサツマイモのローストとは全く別物の経験になります。これらの調理法を試してみてください。いつものお野菜で新しい体験ができますよ。
さつまいも3品
オーグメンティングの野菜ならどれでもさつまいもの代わりに使用できます。どの調理法でも美味しさは保証します。
ヴァータを静めるさつまいものマッシュポテト
4人分
材料(アメリカの1カップは約240ml)
角切りにしたさつまいも中〜大 2本
クミンパウダー 小さじ½
コリアンダーパウダー 小さじ½
塩 小さじ⅓
ギー 大さじ3
水
作り方
鍋でギーを溶かしてクミン、コリアンダー、塩を入れ、混ぜます。
香りが立ってきたらサツマイモを加えて混ぜ、全体の¼の高さまで水を入れます。
蓋をして柔らかくなるまでことこと煮ます
鍋を火からおろし、ポテトマッシャーやおたまの背ですりつぶします。好みの柔らかさになるまで水を加えます。
ピッタを静めるさつまいものロースト
4人分
材料(アメリカの1カップは約240ml)
さつまいも(中サイズ) 2本(5センチの拍子木切りに)
オリーブオイル 大さじ3
生のバジル(刻む) ⅓カップ
パセリ(刻む) ¼カップ
ミネラル塩 小さじ¼
水
作り方
小鍋でオリーブオイルを温めます。
ハーブを加えて香りがたつまでかき混ぜながら優しく炒めます。
ガラス製かセラミック製の焼き皿にさつまいもを入れて、このハーブオイルを上から流しかけます。
さつまいもの¼の高さまで水を加え、190度に熱したオーブンで焼き、ナイフがすっと通ったら出来上がり(さつまいもの厚さと焼き皿によりますが、だいたい15〜20分くらい)。
カパを静めるサツマイモのソテー
4人分
材料(アメリカの1カップは約240ml)
さつまいも(中サイズ) 2本(1センチ大のさいのめ切りに)
ショウガ(みじん切り) 小さじ1
フェンネルシード 小さじ½
生のミントの葉(刻む) 5-10枚
ココナッツオイル 大さじ2-3
水
作り方
鍋でココナッツオイルを熱し、ショウガ、フェンネル、塩を加え、香りを立たせます。
さつまいもを入れて混ぜ、さつまいもの高さまで水を加えて蓋をします。
ことことと煮て、数分ごとにかき混ぜます。ナイフがすっと通ったら出来上がり(約10分)。