塩について:アーユルヴェーダの視点から

 
 

塩は、世界中で何世紀にもわたって使われてきました。最も古くからある調味料で、料理の要とも言えます。数千年前から塩が薬として使われてきたと聞くと、あなたは驚くかもしれませんが、塩は消化を促したり、滞りを解消したりする、hingvastakヒングヴァシタカのような、いくつかのアーユルヴェーダの処方の鍵になる材料でもあります。

このミネラルからは多くの恩恵があるにもかかわらず、現在の医学のシステムの中で塩は問題視されたり、悪者扱いされてきました。しかし、塩を排除したり、極端に少なくしたりすることは、大きな影響をもたらすことになります。

ホリスティックな(総体的な)視点から見れば、塩自体には問題がないことは簡単に理解できます。塩の使いすぎ、使い方の間違い、高度に精製されたもの(一般に食卓塩と呼ばれるもの)を使ったときに、健康上の問題が発生するのです。自然からの贈り物である塩を適量に使うことで、多大な効果があることがわかるでしょう。

塩の種類について

すべての塩が同じというわけではありません。私たちの祖先が塩だと認識していたものは、現在私たちが普通に使っているものとは大きく異なります。かつては海や古代に海底だったところから自然に採取されていた成分でしたが、今では多くの場合、塩は料理というよりも産業としての使用に適すように高度に精製されています。食卓塩の人気とは裏腹に、自然食品店にはたくさんの天然塩が並んでいます。

ここでは主要な3タイプの塩のご紹介します:

  1. 食卓塩(テーブルソルト)は高度に精製された食品です。これは精製されることで、天然の塩に比べるとかなり高いナトリウムの含有率になっています(塩化ナトリウム99.85%)。精製過程で使用される化学物質に加え、食卓塩には添加物も含まれています。固化防止剤、アルミニウム、フッ化物、ヨウ素、およびこれらの添加物を安定させるためのその他の化学物質が含まれることがあります。これらの添加物はパッケージに表示されていませんが、その存在により、食塩に含まれる有害物質が生成されます。添加物の存在は体の中に アーマama(毒)を作り出します。高い塩化ナトリウムの含有率によって、食卓塩は最も味が濃く、すべての塩のタイプの中で一番熱を作り出します。

  2. 海塩(シーソルト)は、2通りの作り方があります。一つの方法は、シンプルに海水を天日干しして作ります。この方法は、世界中で何世紀にも渡って使われていて、様々なサイズや形の小さな結晶となります。海水の味を含み、日常使いにおすすめです。あまり望ましいとは言えない方法で、脱塩と呼ばれる方法です。脱塩は主に産業用途のためや飲み水を作り出すために海水から塩を取り除く工程です。この過程では多くの化学物質を使います。その結果としてこの塩の純度は高くありません。海塩を買う場合には、自然な方法で採取された塩を選ぶようにしましょう。

  3. ミネラル塩(もしくは岩塩)は、数千年の間に乾燥した古代海底だったところから採取されます。ミネラル塩は山から採取され(最も人気があるもののひとつにヒマラヤのピンクミネラル塩があります)、自然なプロセスで洗浄、乾燥されています。ミネラル塩の大きな恩恵のひとつは、微量ミネラルを含んでいることです。人々は歴史的に肥沃な土地で育てられた食べ物からこの微量ミネラルを摂取していました。しかしながら、現在では酷使された土地で商業的に育てられることが多いのが現状です。この理由を考えても、ミネラル塩は料理にも、過剰な粘液をクリアにし呼吸の健康をサポートするネティの実践にも、好ましい選択肢となります。


    ブログ記事(およびすべてのレシピ)において、塩といえば、ミネラル塩(岩塩)か天然海塩(シーソルト)を指すものと考えてください。

ミネラル塩(岩塩)や海塩(シーソルト)からの恩恵

 

アーユルヴェーダ で、塩は、特に ヴァータ・ドーシャがバランスを崩しているときには特に、薬として使われてきました。塩は、火と水の要素で作られていて、少量で体内の水分量を調整し、食べ物からの栄養素の吸収を促進し、血圧を整え、脳や神経系の機能を活性化します。しかしながら、多く摂りすぎると カパを乱し(浮腫など)、高血圧や腎障害、骨粗鬆症やその他の問題を引き起こします。

塩は料理の味方として最もよく知られています。料理で使うと風味を際立たせ、食べ物を柔らかくして体内への吸収をよくします。しかし、塩が台所の主要な地位を確保しているもう一つの理由は、消化酵素を活性化させるからなのです。

バランスと健康を考えた塩の使い方

塩の良いところは、食べ物の味を良くしてくれるところです。しかし、だからこそ、感覚が優位に立つと塩が多用されてしまうのも事実です。

私たちは、すべての料理に塩を使っています。 アーユルヴェーダ風クッキーを焼くときでさえ、使います。なぜなら、塩が他のすべての材料の味を引き立てるからです。大切なのは、適度な量を使うことと、料理に混ぜ込むことです。

適量の塩を使うことで、食材に含まれる他の味と調和させることができるのです。塩の使いすぎは、料理の味が塩辛くなることで分かります。一人当たり小さじ⅛以下で十分です。この程度の塩分であれば、すべての食材の味が際立つ料理になります。

調理に塩を使うことが、味を良くする能力を引き出すための鍵になります。食卓に塩が置いてあるのをよく見かけますが、調理後に塩をかけるのは(たとえミネラル塩でも)体には負担が大きいのです。塩はかなり温める性質なので、このように食べると、その影響を受け、 ピッタのバランスを崩してしまうのです。さらに、調理後に塩をかけると、味蕾が麻痺してしまいます。塩を料理中に入れることで、料理の微細な味を引き出すことができますが、食卓で塩をかけると、その逆になってしまいます。

​塩を忘れないで!

 

正しい塩の使い方は、アーユルヴェーダのキッチンに必要な要素です。塩を料理に取り入れるためのヒントをアーユルヴェーダ料理入門オンライン・ワークショプの生徒さんたちにお伝えしています。


鍋を温め、まずギーかオイルを入れ、次に塩、スパイスの順に入れ、1分ほど熱します。この方法なら、塩を入れるのを忘れることはないでしょう。

 
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